STORY

予期せぬ出会いから、世界で最も過酷な紛争地への訪問。

あれは1999年1月のこと。マウンテンジャケットにぽつりぽつりと小雨を受けながら、僕は全く未知の世界へ足を踏み入れようとしていました。どんな世界が広がっているのだろうか?半分は期待で、半分は恐怖心を抱きながら、誰もいない国境を、一人、一歩一歩、ガザ地区側に向かって歩んで行きました。

そう。僕は、イスラエル国境を越えて、紛争地ガザ地区に向かっていました。世界で最も過酷な紛争地になぜ向かっていたのか、疑問に思うことでしょう。当の本人、僕自身予期せぬ出会いからの訪問でした。

人生の分岐点となる出会い。

1998年12月、アメリカの大学を卒業した僕は、就職が決まっていた日本に向けて、約3ヶ月かけて世界半周する旅に出ました。いずれ大好きなフランスワインを輸入する商社を起業し、お金を貯めて、いつかはフランスでワイナリーを経営することが当時の夢でした。完全に、趣味の延長線上に思いえがいた自分本位の夢でした。ワイン仕事に就く前に、トルコやイスラエルなど、旅先でワイナリー巡りをして、ワインの世界を広げながらのバックパッカー旅行をしていました。

エルサレムから、ヨルダンのペトラ遺跡に行こうとしていたある日、日本人女性に声をかけられました。すぐにガザ地区に遊びに来ないか誘われました。この方は、ガザ地区で、看護師としてボランティアされている方で、日本人を見つけては、紛争地で生きる人々の現実を知ってほしいとガザ地区に誘っていたようです。

誘いを断るのが普通でしょう。僕自身、当時パレスチナやガザ地区について、ほとんどと言っていいほど知識がありませんでしたが、紛争の絶えない危険な場所だというぐらいの認識はありました。しかし、彼女は、今のガザは安全で、皆日本人が大好きだから騙されたと思って来てほしいというのです。無鉄砲で、旅好きで、騙されることすら好きだった僕は、お誘いを受けました。これが、人生の分岐点となることは、知るよしもありませんでした。

この世界には、見過ごすことのできない現実がある。

事実、1999年当時は、ガザ地区は平和でした。日本人なら、パスポートを見せれば、ビザなしで旅行者も入ることが出来ました。余談ながら、できたばかりのガザ国際空港の管制塔まで入った数名の日本人の一人になりました。現在は、廃墟となっています。

一見、平和なガザ地区。しかし、子どもたちに夢を聞いていたら、ある男の子が衝撃的な夢を語り始めました。彼は、将来は爆弾の開発者になって、出来る限り多くの敵を殺したい。そんな夢を真剣に語ったのです。金槌で頭を打たれたような衝撃を受けました。

「この世界で何が起きているのだろうか?」

説得を試みましたが、失敗しました。聞けば、彼は親戚を4歳の頃、目の前で殺された経験をしていました。これが悲しみとなり、やがては憎しみになったのです。この時の少年との出会いで、美味しいワインを飲み、紹介する趣味を仕事にする夢は霞んでしまいました。この世界には、見過ごすことの出来ない、なんとかしなければならない現実があることに直面したのです。

ワイン事業を平和実現のためにスタートします。

日本に帰国後、いくつかの会社に勤務した後、自分のやりたいことを始めようと、後のユナイテッドピープル株式会社となる会社を2002年に創業しました。選んだ事業は、ワインではありません。ガザ地区で出会ったような少年が、人を殺すことではなく、子どもらしい夢を描ける世界が作りたいと願い、国際協力のプロ、NGOに寄付金が集まる募金サイトなどを立ち上げていきました。その後、社会を根本的に変えるには、人の心に触れなければならないと、2009年から映画事業を開始。これまで、多数の社会課題をテーマとした映画を届けてきました。

時は流れて2021年の春。軽い病気をしたのですが、その時、改めて人生の短さを思い知りました。たった一度の人生。やりたいことは、今すぐやろうという新たな決意が生まれました。そして、創業から20周年を迎える2022年を目前に、趣味として傍に置いておいたワイン事業を開始することにしました。

今度は趣味の延長線上ではなく、ワイン事業を平和実現のためにスタートします。それが、可能だと教えてくれた方がいます。約10年前のこと。ある方が、1本のワインをプレゼントしてくれました。そのワインは、アパルトヘイトの終焉を象徴するようなワインで、白人と黒人が協力し合って作ったワインでした。このワインとの出会いで、夢の種を心に植えました。肌の色や、宗教や、国境など、様々なボーダーを越えてかつては対立していた者同士がワインを一緒に作ることで、友情が育まれ、平和な世界を広げる事ができる。ピンときたのです。こういうワインをいつかは作ろう。届けようと。

飲めば飲むほど、世界が平和になるワインを。

ユナイテッドピープルワインは、このようなストーリーのあるワインをお届けします。飲めば飲むほど世界が平和になるワインを。今、大きな夢を抱いています。いや、ずっとこの10年抱いてきた夢です。いつか、対立するイスラエル、パレスチナ人たちが、協力し合って作るワインをプロデュースしたいという夢です。どちらか一方の平和ではなく、共に平和に暮らすきっかけとなるようなワイナリーを作りたいという夢です。時間がかかるでしょうけど、実現したい夢です。

私たちの暮らす世界を平和に。人々が互いを尊重し合い、平和に共存できる世界を。ユナイテッドピープルワインは、こんな願いを込めてセレクトしたピースワインを、心を込めてお届けしています。さあ、ユナイテッドピープルワインのスタートです。すべてのボーダーを越えて、乾杯しましょう!共に、希望ある未来を作りましょう。

2021年7月5日
ユナイテッドピープル株式会社
代表取締役 関根 健次


PROFILE

UNITED PEOPLE WINE 代表 関根 健次

ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役、一般社団法人 国際平和映像祭 代表理事。ベロイト大学経済学部卒。大学の卒業旅行の途中、偶然訪れた紛争地で世界の現実を知り、後に平和実現が人生のミッションとなる。2002年、世界の課題解決を事業目的とするユナイテッドピープル株式会社を創業。2009年から映画事業を開始。2014年より誰でも社会課題・SDGsテーマの映画上映会を開催できる「cinemo(シネモ)」を運営開始。映画『もったいないキッチン』プロデューサー。2021年秋、ワイン事業「ユナイテッドピープルワイン」を開始予定。

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